今を生きる

生きることは、死ぬこと

好きと言えないこと

 

きっと彼は気づいていないと思うが、わたしは一緒にいたこの2日間で一度も彼に好きと言わなかった。きっと初めてのことだと思う。


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今までは好きだと思ったら好きと口にするようにしていたし、愛おしくもあった。好きで愛おしいからこそ、許せることもたくさんあった。


だけど、最近は少し違う。

わたしも彼も、怒りっぽくなったように思う。


わたしは、彼が自分の思う行動から外れたことをすることが許せなくなってきているように感じる。


なんで?

だめだよ。

〇〇しなよ。

〇〇って言ったじゃん。

ちゃんとしなよ。


そんな言葉を何度も何度も、繰り返し彼に掛けて、わたしは彼が自分の思い通りにならないことに苛立ってる。


仕事で疲れてる、眠い、好きなものがある、したいことがある、やめられないものがある、すこし休みたい。

彼の気持ちもわかるし、受け入れるべきであると思うのに、それ以上に自分が大切にされていないように感じてしまって彼の自由であるべき事を受け入れてあげられない自分がいて、自分に嫌気がさす。


好きだと心の底から思えず、苛立っている自分に、彼も気づいている。怒りっぽくなったね、怒らんで?、と困ったような顔でわたしを見る。じゃあ治してよ!と心の中で思うけど、そんなことは難しいに決まってる。わかってる。わかってるんだけど、苛立ってしまう。

怒らんで?、と言われる度に、じゃあ怒らせるようなことしないで、と言いたくなる。そんなことを言ったらダメだと思って、怒ってないよってふざけた顔して振り向く。そんなのだめだ。


彼も彼で怒りっぽくなっていると感じるが、その理由は少なからずわたしにあると思っている。

好きなものを制限し、行動を制限し、今まではそれでも「あなたが好きだから」と、「無理なんかしてないよ」と無理をして笑ってくれる彼に、優しさを感じていたんだと思う。

だけどそんな無理はいつまでも続くわけはなくて。


四半世紀生きてきた彼の、生きてきた時間と習慣と嗜好が、「好きな人」の力で簡単に変わるわけないし、そんな簡単に色んなことを変えられるような人にはなってほしくないのに。

いままでたくさんわたしに合わせてくれたことを、当たり前だと思ってはいけないのに。それに感謝しなくてはいけないのに。


倦怠期というやつなのか。愛情がなくなったのか。


自宅に向かう車の中で、考えていた。

わからなかった。何がどうなって、どんな心境の変化があって、2人にどんな関係性の変化があったのか。

心変わりをするような相手がいるわけでもない。決定的な何かがあったわけでもない。(と思う。)

今のこの時期を乗り越えたら、前のようにお互いがお互いを思いやって好き同士穏やかに過ごせるのか。それとももう下降の一途なのか、すこし距離を置けば大切さに気づくのだろうか。わからない。わからない。

考えても、わからない。


前は〇〇、してくれたのにな。


そう思うことがすこしずつ増えるにつれて、向こうもわたしに対しての愛が、すこしずつ冷めてるんじゃないかって不安になる。

それとも、わたしが好きと言えないこの煮え切らない感情が、相手にどことなく影響を与えてるのだろうか。


穏やかに過ごせていた毎日を、失いたくないし、彼のことは大切に思っている。ただそれだけでいいのに。難しい。他人と他人が一緒にいるって、並大抵のことではない。当たり前のことなんて、ゼロに等しいのに、その当たり前をわたし側の100に寄せようと、求めているわたしがいて、そんな自分に嫌気がさす。


他人を大切にできていないわたしが、自分のことを好きになれるわけがないのだ。


とりあえず2週間。

すこし距離を置いて自分の気持ちを見つめ直したい。


おやすみなさい。